大学卒業後、社会保険労務士を取得し、会計事務所が母体のコンサル会社に入社。国内・国外を問わず企業の経営コンサルを始め、人事・労務に関するサポートに従事。携わった業務は、企業の労務管理体制から社会保険手続き代行までさまざま。退職後に会社を設立し、代表取締役に就任。企業の労務管理体制の支援などを行う。 シグマライズ社会保険労務士事務所
目次
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派遣社員を辞めたい人の割合は70%以上
「このまま派遣社員として働いていくことになるのかな...」
そんな不安を抱えていませんか。
少し古いデータになりますが、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「派遣社員のキャリアと働き方に関する調査」によると、将来の雇用に不安を感じている派遣社員は70%以上いるようです。不安を感じる割合は年齢が高くなるにつれて増加する傾向にあるため、できるだけ若い内に安定した雇用に就きたいですよね。
▼参考資料
正社員を希望している人は10人中8人
派遣社員の中で、正社員を希望している人は約80%存在しています。10人中8人が正社員を希望しているということは、やはり派遣社員としての働き方に何かしらの不安や不満を抱えている人が多いのでしょう。また、正社員になりたくないと答えた派遣社員は0人でした。
派遣社員が仕事を辞めたいと思う5つの理由
正社員になりたい派遣社員が多いことが分かりました。それではなぜ、多くの人は派遣という働き方に不安や不満を抱えるのでしょうか。
以下で、派遣社員が仕事を辞めたいと思う理由をご紹介します。外的・内的要因の両方があるようです。
1.正社員への憧れを強く抱き始めた
派遣社員が仕事を辞めたいと思う理由のひとつ目は、正社員への憧れを強く抱き始めたことです。お伝えしましたが、派遣社員の約80%は正社員を希望していますので、当然でしょう。
正社員として働きたかったけど、叶わずに泣く泣く派遣社員という働き方を選んだ人もいます。そういった人は、正社員として働きたい気持ちが強く、派遣社員を辞めたいと感じるのです。
2.派遣先で人間関係が崩れてしまう
仕事において、人間関係は非常に重要です。仕事はひとりでできるものではなく、周りと協力して成り立っているからです。しかし、お互い人間ですので、どうしても合う/合わないはでてくるでしょう。派遣社員は、周りで働いてる正社員と比べると立場が低くなってしまいがちですので、一度人間関係が崩れてしまうと修正が難しいです。
また、派遣いじめという言葉があるように、派遣社員として働いていることをバカにしてくる正社員がいるのも原因のひとつでしょう。
3.通勤時間が長いうえに交通費が出ない
雇用は派遣元会社ですが、労働は派遣先になりますので、通勤時間が長くなることがあります。都道府県をまたぐことも珍しくなく、通勤するだけで疲れ切ってしまうことも。また、正社員などと違って、派遣社員は待遇がいいとはいえず、どれだけ通勤距離があっても交通費が出ないケースがあります。
体力面や金銭面でも負担が大きくなってしまい、辞めたいと感じてしまうのです。
4.聞いていた業務内容や条件が実際と異なっていた
派遣の特徴として、雇用契約は派遣元会社ですが、実際に働くのは派遣先の会社となります。そのため、派遣元会社から紹介された求人内容と、実際に派遣先で働いた時の業務内容や条件が異なることがあります。原因として考えられるのは、まず派遣元会社の営業担当者の説明不足がひとつです。そして、派遣先が人手欲しさに、嘘で好条件の求人情報を出していることも考えられるでしょう。
自分が望んでいた仕事や条件ではないために、辞めたいと感じてしまうのは無理ありません。
5.仕事の量と責任の大きさが給料に釣り合っていない
最後にご紹介する、派遣社員が仕事を辞めたいと思う理由は、仕事の量と責任の大きさが給料に釣り合っていないことです。周りの正社員と同じ、またはそれ以上の仕事の量と責任の大きさを背負っているのに、給料は低い。自分より仕事をしていない人が給料を多くもらっていることを知れば、急にバカバカしく思えて、辞めたいと感じてしまうでしょう。
派遣社員をすぐ辞めたい人が知っておくべき3つのポイント
派遣社員が仕事を辞めたいと思う理由を見てきましたが、納得のいくものばかりだったのではないでしょうか。次に、派遣社員を辞めたい人が知っておくべき注意点をご紹介します。辞めることだけを考えて行動してしまうと、後悔するはめになってしまいますよ。
1.派遣先に退職の申し出をしても意味はない
派遣社員を辞めたい人が知っておくべき注意点のひとつ目は、退職の申し出は派遣先ではなく「派遣元会社」にすることです。派遣社員が雇用契約を結んでいるのはあくまで派遣元会社であり、派遣先は関係ありません。つまり、派遣先に退職したいと伝えてもどうすることもできないのです。
別の考え方をすると、派遣先の人から「明日から来なくていい」といわれても、解雇する権限はないので、クビになることはありません。
2.派遣元会社に退職したい旨を伝えて相談する
仕事を辞めたいと考え始めたら、派遣元会社に退職したい旨を伝えると同時に、相談をしましょう。仕事量と給料が釣り合っていない、人間関係が悪いなど、辞めたいと感じる理由は人それぞれだと思いますが、相談することで派遣会社が動いてくれて、問題解決できるかもしれません。
せっかく就業してスキルや経験を積んだのに、それを途中で投げ出すのは勿体ないので、相談して解決するかどうか確認するといいでしょう。
3.退職するのは次の職場を見つけてから
これ以上、派遣社員としてやっていけないと感じて辞めたいと思っても、そのまますぐに退職に踏み切ってはいけません。辞めてしまうと、その間の収入がなくなってしまうからです。そのため、辞める前に次の転職先の目星をつけましょう。もっといえば、転職先が決まってから退職するのもありです。
経済面に余裕がある、しばらく仕事から離れたいなどの人は別として、退職後のリスクはできるだけなくしておくといいでしょう。
転職先への合格可能性を診断してみる
派遣社員を辞める前に次の職場探しはしておいた方がいいですが、そんな時におすすめなのが「doda合格診断」です。自分の経歴やキャリアを入力するだけで、合格可能性のある企業を診断してくれます。
自分はどんな企業だったら受かるのかを調べるだけでもいいので、腕試しがてら気軽に診断してみてください!
派遣社員の退職手順とは
派遣社員を辞めたいと思っても、どういった手順をふんでいけばいいか分からないですよね。以下で、派遣社員が退職するときの手順を、一から解説します。そこまで手順は多くないため、一つひとつ丁寧に進めてくださいね。
【4ステップ】派遣社員の退職手順
【1】退職の意思を派遣元会社に伝える
(1ヵ月前までには伝えるのがベスト)
【2】後任者に業務やマニュアルを引継ぐ
(後任者が困らないように、テキスト化して引き継ぐのがおすすめ)
【3】退職の手続き&身の回りの整理
(社会保険の切り替えや退職書類の提出、デスクの整理など)
【4】退職の挨拶
(お世話になった人には直接挨拶をし、回りきれない人にはメールを送る。菓子折りを配るのもあり)
契約期間中に辞めることは原則不可能
どんな雇用形態であれ、労働者には民法や労働基準法が適用されます。例えば、正社員の退職に関しては民法第六二七条で、退職の申入れを当期の前半にすれば次期以後についてすることができます(例:3月末に退職したいのであれば3/17までに申請する)。
しかし、これは期間の定めのない雇用形態者を対象としており、期間の定めのある派遣社員には適用されません。派遣社員は、契約期間中に退職することは原則として不可能なのです。つまり、契約満了期間を迎えるか、契約更新の月を目途に退職するという意思を伝えて契約更新をストップすれば、仕事を辞めることができるのです。
▼参考資料
1ヵ月前に退職申請をするのがベスト
それでは、いつのタイミングで退職申請をするのがベストかというと、おおよその目安として1ヵ月前がいいです。一般的に、契約更新月の1ヵ月前に派遣元会社から更新するかどうかを聞かれることが多いため、その時に退職の意思を示しましょう。
また、派遣先に迷惑をかけないために、仕事の引継ぎなどを行うことを考えても、1ヵ月前が妥当だといえます。
派遣社員を辞めた後のこと
派遣社員の辞め方のポイントでも少し触れましたが、退職した後のことは考えていますか?おそらく、多くの人がまた新しい仕事を始めると思いますが、その目星はついていますか?
「派遣社員を辞めたい」「辞め方を知りたい」という人がこの記事を読んでいると思いますが、辞めたいと感じている今だけでなく、辞めた後のことも考えて動かなければ後悔してしまうこともあります。次はどこの企業で何の仕事をするのか、給料はどれくらいがいいのか、正社員として働きたいのかなど、考えることは多くあります。この記事を読んで派遣社員の辞め方を知った後は、今後のことについてしっかり考えましょう。
しかし、そこまで気が回らない、自分でもどうすればいいか分からないという人も中にはいるでしょう。そんな人は一体どうすればいいのか、次の章で詳しくご紹介します。
再び派遣社員として働く人は円満に退職を
もし、正社員ではなく、次も派遣社員として働いていきたい人は、円満退職を心がけましょう。派遣会社とのご縁が切れてしまうため、自分の選択肢を狭めてしまいかねません。そして、同業者の間で「××な人がいてさ~」と噂が回ることもあります。
もう辞めてしまうから、と考えずに、これからも派遣社員として働いてくための最善の行動をとりましょう。
派遣社員から正社員に転職した人はエージェントをうまく使っている
派遣社員を辞めた後、正社員への転職に不安がある人には「転職エージェント」への相談をおすすめします。退職のフォローだけでなく、就業先が決まるまで次の仕事探しを手伝ってくれます。特に、次は正社員として働きたいという人におすすめで、専属のコンサルタントが面談で希望と今後のキャリアを把握し、それに見合う正社員求人を紹介してくれます。採用の決め手となる応募書類の添削や面接対策などのサポートも丁寧にしてくれるため、安心ですよ。
一般的な転職サイトでは自分で求人を探して応募することしかできず、結局自力で進めることになるため、サポート力という点では不安があります。求人探しさえできればいいという人は転職サイトで十分ですが、選考対策や面接日程・入社日の調整などまでフォローしてもらいたい人は、転職エージェントを使った方が失敗するリスクを減らせるでしょう。
正社員転職に強いおすすめのエージェント
ハタラクティブ
4.2
口コミ数:45
20代の派遣社員の方におすすめしたいのが「ハタラクティブ」。未経験歓迎の求人を常時1,000件以上持っているため、スキルや経験がなくても心配ありません。それでいて、内定率は80%以上であるため、困ったらまずは相談するといいでしょう。
リクルートエージェント
3.9
口コミ数:71
「リクルートエージェント」は、転職業界で求人数と実績でNo.1を獲得しています。転職支援の経験が豊富なアドバイザーが数多く在籍しているため、正社員として転職できるテクニックを教えてくれるでしょう。
doda(デューダ)
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「doda」は、一人ひとりの"はたらく"を優先した転職サポートを行っています。特に、派遣社員から正社員に転職するとなると、これまでとは働き方が異なるため、戸惑うことがあるかもしれません。そこを理解したうえで的確なアドバイスをくれるため、ぜひ相談してみてください。
派遣社員は次の職場を見つけてから辞めるようにしよう
派遣社員を辞めたいと感じる理由は、派遣先での人間関係で悩んだり、聞いていた仕事内容と違っていたりしたことなどでした。何か悩みや不満が出てきたら、まずは派遣元会社に相談しましょう。営業担当の方が動いてくれて、問題が解決するかもしれません。
しかし、派遣元会社に相談しても解決しない場合は、不満のある仕事を続けていてもストレスが溜まるだけなので、転職をして新たにスタートし直すのもひとつの手です。そのときは、一緒に次の転職先を探してサポートしてくれる転職エージェントに相談しましょう。正社員として採用されるためのテクニックを教えてくれますよ!
ただし、契約の当事者間で契約の解消について同意が得られるのであれば、契約期間中であっても契約解消することは可能です。そのため、実務上は有期の労働契約を締結している場合であっても、退職の意思を会社側に伝え、会社側の同意を得た上で契約期間中に退職をするケースもあります。
この記事で紹介したサービス
- 未経験から正社員へ「ハタラクティブ」
- 東証1部上場「リクルートエージェント」
- 全国36拠点の人材事業「doda」
派遣社員の場合、派遣元企業と有期の労働契約を締結していることが多くなっています。有期の労働契約とは、定められた期間働くことを前提に締結される契約になるため、原則、契約期間中に退職することができません(同様に、契約期間中は会社側から従業員を解雇することも原則できません)。